Martin Kern

参加作品

R.シュトラウス:歌劇「エレクトラ」(2010年 ザルツブルク音楽祭 大祝祭劇場)
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ユングが提唱した「エレクトラ・コンプレックス」(女児が父親に対し強い愛情を抱き、母親を敵対視すること)の由来となったギリシャ神話に登場する王女の葛藤の物語にシュトラウスは極めて暴力的で陶酔的な音楽を付けています。エレクトラは100分を越える全曲にほとんど出ずっぱり。息詰まるような歌を歌いながら体中から憎しみを発散させなくてはいけません。ここではテオリンが独特のメイクと眼力、そして蛇のような動きでこの難役を文句なく演じています。彼女に対峙する母親クリテムネストラは、それ以上に海千山千の女。名歌手マイヤーが持てる底力をとくと見せ付けてくれます。純情な妹クリソテミスもなかなかの食わせ者。ウェストブロークが良い味だしています。パーペを始めとした男声陣もなかなかです。レーンホフの演出は、あからさまで、動き一つ一つが台詞に沿っており、また、幕切れの場面は決して結末をぼかすことなく全てを白日の下に晒し出します。