Yasuko Aizawa
“夜逃げ屋”会社の成功から、社長の源氏は新たに自己破産の代行を請け負う事務所を営んでいた。だが彼らが借金に苦しむ人々を次々と自己破産させる一方で、先代の教えを守って良心的な経営を行なっていた消費者金融・新珠金融は債権回収がままならなくなり、ついに倒産してしまう。実は、その裏には先代社長時代の元社員で、現在は裏金融業者の豊富の陰謀があった。追い詰められた現社長の新珠はついに自殺を図る。
Yasuko Aizawa
借金に苦しむ顧客を、正当な手段で“夜逃げ”させる斡旋会社ミッドナイトラン。その社長を務める源氏は、事前事後の用意周到な計画で債権者を出し抜き、客たちの人生の立て直しに協力していた。一方、大帝都信販調査部の敏腕部長・芙美子は、借りた金も返せない人間に価値はないと、源氏たちの活動を苦々しく思っていた。そんなある日、源氏のもとに大帝都信販に巨額の負債を抱える暴力団組長から夜逃げの依頼が舞い込む。
Ayako (Magazine Editor)
天才少女作家として人気を博した有栖川珠子は、スランプで筆が進まず、海辺のコテージで一人暮らし中。チンピラの中井英二は山西組の幹部である滝口に呼び出された先で、銃に撃たれ負傷した滝口と、同じく銃で撃たれ死亡している山西組長を見つける。滝口から銃の入ったバッグを預かった英二は、滝口から聞いていた組長を撃った女とまったく同じ特徴の珠子を発見し、彼女をバーに連れ込んだ。しかしそこで英二と珠子は二人の殺し屋に襲われ、訳の分からないまま夜の六本木に逃げ出した…。
高校の写真部に所属する17歳の少女・瞳。母親は数年前に亡くなり、父親の修三は別の女性と再婚する予定だった。瞳はカメラを手に地元・鎌倉を歩くうち、梶川という中年男性と出会うが、自分が大学生だと嘘をつく。東京で梶川と再会した瞳は、すっかり彼に夢中になる。そんな瞳だが、母親の命日に偶然アルバムを見ると、亡き母親と梶川らしい男性が一緒に写った写真を見つけて驚く。20年前、梶川と瞳の母親は交際していた。
Kaori Kikuchi
三田静香は劇団「海」の研究生で、女優になるために努力を重ねる20歳の女性。そんな真摯な静香を公園で見初めた森口は元劇団員の26歳、今は不動産屋の社員をしている。静香は劇団の次回公演『Wの悲劇』の主役選考オーディションに臨むが、同期のかおりが役を射止め、静香は物語の冒頭でひとことだけ台詞のある端役を担当することになった。オーディションに落ちて落ち込む静香に、森口は俳優時代の心理的な苦悩を語る。そして、森口は、静香がスターになれなかったらという条件で結婚を申し込み、反対に静香が役者として成功した場合はサヨナラの意味も込めて楽屋に大きな花束を贈ることを約束する。