Hideo Matsuyama

旅回りの駒十郎一座の乗った船が港に着いた。駒十郎は一膳飯屋にお芳を訪ね、その昔二人がもうけた清も今では郵便局に勤めていると知って安心する。清には駒十郎はお芳の兄ということになっていた。駒十郎の連れ合いのすみ子は、清のことを不審に思い加代に清を誘惑してくれるよう頼む。加代と清は恋仲になり、それを知った駒十郎は加代とすみ子を激しく叱りつける。客入りの悪くなった一座は解散することになり、駒十郎と清は加代を巡って対立する。お芳は清に駒十郎が実の父親だと打ち明けるが、清は許さず、駒十郎は気が抜けたように立ち去る。駅に行くとすみ子が待っていて、二人は車中の人となるのだった。

Special Forces commander Captain Tadamori returns to Kyoto after successfully defeating the uprising of pirates in the western sea of Japan. But because the high courtiers dislike career soldiers gaining power and influence, they ignore the will of ex-Emperor Toba and refuse to reward the captain. Reward recommender Lord Tokinobu is punished, and the captain sends his son Kiyomori to the Lord's residence, where he falls in love with Tokiko, the Lord's daughter. Meanwhile, Kiyomori finds out that he is possibly the ex-Emperor's son... Written by L.H. Wong

明治十二三年頃、横浜での物語。ある露路の長屋に栗崎菊栄という裁縫の師匠がやもめ暮らしをしていた。隣には月琴の流しをしているお絹という美しい娘が母と二人暮らし。お絹は稼業に似ずしおらしい素直な娘である。彼女は貿易商阿島家の駆者をしている江口信吉という将来弁護士を志す青年と愛し合う仲であった。阿島は信吉を見込んで跡取りに迎える…。