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対テロ戦争による破壊の傷が、生々しく残る東京。そこに帰国した一人の青年。後に新十郎と呼ばれることになるこの青年の側には、謎めいた少年・因果がいた。行くあてもない新十郎に、東京検察庁の虎山泉が接触してくる。「きみ、大野妙心を知ってるよね?」大野妙心とは、新興宗教『別天王会』の会師。彼は、現御神(あきつみかみ)を称する少女・別天王をまつりあげ、ヤミヨセという秘密儀式を行っていた。だが儀式の最中、信者が次々に獣に襲われて死ぬという事件が発生。獣そのものの実在を証明できず、警察は殺人事件として立件できないでいた。過去と現在が交錯し、真実を求める新十郎の前に、神をも超える力を持つという別天王が立ちふさがる。それは新十郎と因果の出会いから始まる、敗戦探偵最初の事件―。