Usagi Ōyama
出生 : 1940-06-26, Hyōgo, Japan
略歴
1940年、静岡県清水の靴屋の11人の子供の中の6女として登録され、1歳未満に東京の建築技師の長女となる。
3歳の或る日、養父に抱かれて場末の、俗に言うしょんべん臭い映画館に行った。
行く時「きっと泣いたりして見せないだろう!」と言って連れて行ったのが、物も言わずに観ていたそうで、帰るなり養母に「お母ちゃま、お母ちゃま・・・」と大騒ぎで寝たり起きたりの物真似入りで母に見て来た物を説明し、聞きつけた隣の奥さんが映画を観に行って雨に降られたのだそうだ。
だが、私はその時に大きくなったらああいう人になろうと決めてしまった。
現在下肢障害2級の障害者。
日常は松葉杖歩行。
映像,ステージを問わず役者として動く時間内は杖を使用していない。
両膝が伸びきらないし、正座も出来ないが、スカート姿であれば障害者としての外見を有さないためにいままでは、その辺に居そうな普通のおばさんを演じてきた。
変に気を使われるのも嫌だったし、現場現場で杖を隠した。
2004年を迎えて思った。
それでよかったのだろうか?
海外には片腕の投手が居る。
障害者の楽団も有る。
車椅子の美人トップモデルもいる。
「特攻野郎Aチーム」という映画に片足の海賊が居て、義足が機銃だった。
ディズニーの古い映画の中でハンスさんという片手片足の男が街の掃除をしていた。
何かの映画の中でドイツの皇太子の学友が松葉杖の男だった。
やはり海外のB級映画でヒロインが助けられて入院しているナイロビの病院で、ヒロインを勇気付ける男が「泳いでくるよ」と羽織っていたシャツをふるい落とすと両腕が無かった。
そのハンディマン達は虚構のドラマの中に真実味を持たせていた。
丁度第1回目の手術の前の末期症状で激痛の中にステージングしていたミュージカルの楽屋を訪ねて来た、ルックスに恵まれない若い女性がファンになりたいと言い、「あなたみたいなみっともない人があんな華やかな舞台で楽しそうに踊っているのを見て自分も生きていて良いんだとおもった。」と言った。
あぁ!この人は今までの人生よっぽど辛かったんだと思った。
だから今もこの仕事を続けている。