“大坂夏の陣”を題材にした時代物の名作。「近江源氏先陣館」の続編として書かれた作品で、史実の真田幸村をモデルにしたのが劇中の佐々木高綱で、千姫を時姫、木村重成を三浦之助、徳川家康を北条時政として描いている。ご覧頂くのは五代目雀右衛門の襲名狂言として“三姫”と呼ばれる女方の大役・時姫を雀右衛門が勤めた舞台。ほか吉右衛門の高綱、秀太郎の長門、菊五郎の三浦之助という配役でお届けする。 北条時政(史実の徳川家康)との戦いで、劣勢を余儀なくされている源頼家(史実の豊臣秀頼)に仕える三浦之助は、老いた母のもとへ暇乞いに訪れる。それを出迎えた三浦之助の許嫁の時姫は、時政の娘ながら夫となる人に恋い慕う心を打ち明けるのだが…。