海辺の街にある女子高。三年に進学した桐島カヤ子は、同じクラスになった遠藤雅美のことが気になっていた。去年、何かの理由で停学して同級生になった彼女。どうして?クラス中が彼女に興味を持ちながら、無視している毎日。いつでもひとりでいる雅美。そんな彼女をじっと見つめるカヤ子。ある日、カヤ子は、そんな雅美を屋上での仲間たちとの昼食に誘った。それから、二人は急速に仲良くなった。いままでの仲間たちと遠ざかっていくカヤ子。雅美の部屋で見たセザンヌの画集。雅美から借りたCDから流れ出す少し背伸びした音楽。二人で見た海の青色。歩いた道。空の青。憧れ。不器用なキス。小さな、しかし、とても悲しい裏切り。そして、カヤ子はささやかな決心をする…。濃い海の上に広がる空や、制服や、幼い彼女たちの一生懸命な不器用さや、あの頃のそれら全部が、もし色を持っていたとしたら、それはとても深い青色なのかもしれない。