フリーライターの流太は、3年前に起きた悲劇から立ち直れずにいた。 元恋人の翔子が交通事故により脳死状態になった。翔子の兄の佐久間和人と流太は、医学部の同期であり親友であった。ある日、流太の元に行方知れずの著名人の追跡取材依頼がくる。その相手とは、若干25歳、天才医師で人口知能研究者。画期的な論文を次々と発表し、世界の人口知能を根本から変える新人として騒がれ、周囲の期待を裏切り1年前失踪した、佐久間和人だった―。 大学時代の恩師、前島教授を訪れ和人の話を聞きだすと、意外な事実が発覚。病院を辞め失踪した理由とは、臨床の際、命に関わる事故を起こした為だった。調べを進めるうちにアングラサイトで『天才医学者・佐久間和人はA・Iの人体実験をしていた!』の文字を見つける。 流太は手掛りを求め、聞き込みや、サイト検索をして奔走。ひたすら探し歩く流太は疲弊し、いつしか海に辿りつく。打ち寄せる波を見ながら、亡き翔子を思い出す。すると、死んだはずの翔子が流太の前に現われた―。