Tsuguto Watanabe

参加作品

天使の恍惚
キャンドルライトが闇の中から湧き出た様に浮び、周囲の闇は深い拒絶を示している。女歌手の唄声……。人気のないナイトクラブで秘やかに祝杯があげられる。革命軍「四季協会」の秋軍団が首都総攻撃を期し、米軍基地襲撃、武器奪取作戦を敢行するのだ。全裸の秋と十月が抱き合う。激しく秋を攻める十月。恍惚のさなかで誓い合う革命天使二人。闘いの始まり。首都をもやしつくそうとする炎が、今、その炎の手を上げようとしている。基地への突入隊は十月組隊長以下月曜から日曜までの八名の兵士。その半数が戦死し、リーダーの十月は弾薬の爆発で目を負傷する。別動隊の九月組は姿を見せず、女指揮官秋が現われ、アジトへの待機を指令する。過大の犠牲を払い手に入れた爆弾兵器は、冬軍団二月組によってクラブの歌手である金曜日の部屋から徴収され、金曜日と月曜日はすまじいまでのリンチにたたきのめされてしまう。秋軍団の解散式。十月は来ない。じれる秋の背に金曜日の歌が突きささる。秋が絶叫する。本気で孤立出来る奴、自分の身体だけで闘える奴、個的な闘いを個的に闘える本気の奴らが十月組なんだ!孤立した精鋭こそが世界を換える。世界を創る。十月!私は今飛ぶわ、あなたと、あなた達と!秋におそいかかる数人の男たち、血か飛翔する。大爆発。月曜日が爆弾をかかえ野分けのように走る。金曜日が駆けめぐる。一本の華麗な火柱、十月の兵士の壮絶な爆死。爆弾を背負った土曜日が、そして盲目のリーダー十月が風景の中へ溶け込んでゆく。あとは、静かな戦場の風景が、風に吹かれているだけである。