Production Manager
──あいしてるってなんですか? かつて自分に愛を教え、与えようとしてくれた、大切な人。会いたくても会えない。永遠に。手を離してしまった、大切な大切な人。 代筆業に従事する彼女の名は、〈ヴァイオレット・エヴァーガーデン〉。 幼い頃から兵士として戦い、心を育む機会が与えられなかった彼女は、 大切な上官〈ギルベルト・ブーゲンビリア〉が残した言葉が理解できなかった。 ──心から、愛してる。 人々に深い傷を負わせた戦争が終結して数年。 新しい技術の開発によって生活は変わり、人々は前を向いて進んでいこうとしていた。 しかし、ヴァイオレットはどこかでギルベルトが生きていることを信じ、ただ彼を想う日々を過ごす。 ──親愛なるギルベルト少佐。また今日も少佐のことを思い出してしまいました。 ヴァイオレットの強い願いは、静かに夜の闇に溶けていく。 ギルベルトの母親の月命日に、 ヴァイオレットは彼の代わりを担うかのように花を手向けていた。 ある日、彼の兄・ディートフリート大佐と鉢合わせる。 ディートフリートは、ギルベルトのことはもう忘れるべきだと訴えるが、 ヴァイオレットはまっすぐ答えるだけだった。「忘れることは、できません」と。 そんな折、ヴァイオレットへ依頼の電話がかかってくる。依頼人はユリスという少年。 一方、郵便社の倉庫で一通の宛先不明の手紙が見つかり……。