Executive Producer
人里離れた山間の村。木こりの岸克彦(役所広司)は、早朝から仲間と山林に入り、木々を伐採して生計を立てていた。妻に先立たれ、今は息子の浩一(高良健吾)と2人暮らし。定職に就かずにふらふらしている浩一に、克彦は憤りを覚えていた。妻の三回忌はもうすぐ。ある朝、田舎道を行く克彦は、車が溝にはまって立ち往生している2人を発見する。ゾンビ映画の撮影にやってきた映画監督の田辺幸一(小栗旬)と鳥居(古舘寛治)だった。なりゆきから、2人を撮影現場まで案内することになった克彦は、そのままゾンビのメイクでエキストラ出演する羽目になる。木こり仲間たちから出演をネタにされ、まんざらでもない克彦。撮影途中の映像を見るラッシュ試写に呼ばれた彼は、小さく映る自分のゾンビ姿に思わず苦笑いする。傍らでは幸一が、自分の腕を噛みながら、苦々しい表情でスクリーンを見つめていた。現場では、大勢のスタッフやキャストから質問攻めにあい、頭が混乱して昏倒してしまう幸一。そこへたまたまやってきた克彦は、弁当を食べながら幸一に年齢を尋ねる。彼が25歳だと聞いた克彦は、生い茂る松の木を指さし、“あそこに松が生えてるだろ。あの木が一人前になるのに、ざっと100年はかかるよ。”と告げる。またある日、露天風呂から上がり、克彦と一緒にそばをすすっていた幸一は、父親が買ってきたビデオカメラをきっかけに、映画を撮り始めるようになったことを語る。しかし、実家の旅館を継がなかったことで、父親は後悔しているだろうと。克彦は“後悔なんかしてねえよ。自分の買ってきたカメラが息子の人生を変えたんだ。嬉しくてしょうがねえだろうよ。”と幸一を諭すのだった。やがて克彦は積極的に撮影を手伝うようになり、撮影隊と村人たちとの間に、少しずつ一体感が生まれてゆく。やがて、撮影はいよいよ佳境を迎える……。
Executive Producer
陽子と娘の月子は、ずっと母一人子一人で仲良く支え合って暮らしてきた。ある晩、酔っ払った陽子が若い金髪の男・研二を連れて帰ってきて、彼との結婚を宣言する。あまりに突然の事態に戸惑う月子は、母に裏切られたという思いから陽子にも研二にも素直に心を開けず、家を飛び出してしまう。
Executive Producer
宝町で暮らす親を知らない少年クロとシロ。町で“ネコ”と呼ばれるふたりは、かつあげやかっぱらいで暮らしていた。その町で“子供の城”の建設話が持ち上がる。しかし、それは古めかしい宝町を近代化して支配しようとするヤクザの仕業。昔気質のヤクザのネズミは反対するが、彼のボスは謎の男“蛇”にこの計画を一任していた。残酷な蛇はクロとシロを邪魔者だと判断し、刺客をおくる。ケンカでは誰にも負けない凶暴なクロだったが、刺客の前では手も足も出ない。そして追いつめられたシロは刺されてしまう…。
Executive Producer
10歳の息子を育てながら家政婦として働くシングルマザーの杏子。不慮の事故が原因で記憶が80分しかもたなくなってしまった数学博士の身の回りの世話をすることに。彼は記憶の欠陥を補うため、忘れてはならない事柄をメモしては自分の着ている服にあちこち貼り付け、また、自分のお得意の数式をしばしば話題にし、他人と独自のコミュニケーションをとっていた。最初は面食らった杏子だが、次第に博士の人柄に魅せられていく。
Executive Producer
東京に住む上田孝夫と美智子の夫婦。孝夫は売れない小説家、美智子は大学病院の有能な医師だった。ある日、美智子は流産をきっかけにパニック障害という心の病にかかってしまう。都会の生活にも仕事にも疲れきっていた2人は、孝夫の故郷である信州へ移住することを決心した。2人は移り住んだある村で、村の死者がまつられた阿弥陀堂で暮らしているおうめ婆さんを始め、様々な人々と出会った。喋ることが出来ない難病を抱える少女・小百合は、おうめが日々思ったことを書きとめ、村の広報誌に“阿弥陀堂だより”として連載していた。