Shintarô
群雄割拠の戦国時代が終わりを告げ、世を二分する徳川と豊臣の戦いもいよいよ終盤を迎えていた頃。剣を手にして戦場を駆け抜けるひとりの少女がいた。天下取りの夢に浮かされた大名たちによって、未だにくすぶり続ける戦乱の時代に終止符を打ち、世の中に平和をもたらす為に、少女の使命は皮肉にも徳川の刺客となって対抗する豊臣の大名たちの命を奪うこと。なぜ、闘い続けなくてはいけないのか。安堵の人生を生きる幸せは許されないのか。刃をふるうたび少女の心は震える。少女の名はあずみ......。
梅安が音羽の元締から依頼された仕掛けの相手は、大阪の大元締・白子屋菊右衛門だった。以前、藤枝梅安は白子屋の世話になっていたが、剣客・小杉十五郎の件で対立する間柄に変わっていた。愛人をかどわかされ、江戸まで乗り込んでくる白子屋。命を付け狙われた梅安は、対決する覚悟を決め、白子屋に捨て身で立ち向かっていく…。
三田静香は劇団「海」の研究生で、女優になるために努力を重ねる20歳の女性。そんな真摯な静香を公園で見初めた森口は元劇団員の26歳、今は不動産屋の社員をしている。静香は劇団の次回公演『Wの悲劇』の主役選考オーディションに臨むが、同期のかおりが役を射止め、静香は物語の冒頭でひとことだけ台詞のある端役を担当することになった。オーディションに落ちて落ち込む静香に、森口は俳優時代の心理的な苦悩を語る。そして、森口は、静香がスターになれなかったらという条件で結婚を申し込み、反対に静香が役者として成功した場合はサヨナラの意味も込めて楽屋に大きな花束を贈ることを約束する。