日露戦争における激戦地・二百三高地での帝国陸軍の戦いを描いた歴史スペクタクル。
Veteran H
昭和7年。生活苦のため、姉の薫が芸者として売られることになったと知り、仙台の連隊から初年兵の溝口が脱走した上、捜索隊の上官を殺害するという事件が発生。どうか情状酌量をという宮城隊長の嘆願もむなしく、溝口は銃殺刑に処せられ、宮城も朝鮮の守備隊への転任を命じられる。その地で宮城は、芸者となっていた薫とくしくも巡り合う。その後、宮城は薫を妻にするが、皇道派の青年将校となった彼は次第に苦悩の色を深める。
高知へ向け、愛車とともにフェリーに乗り込んだ桃次郎とジョナサン。船上で桃次郎は地方回りの歌手・結花と知り合い、またもや一目惚れしてしまう。だが高知に着いた矢先、ジョナサンが目をくらませ、急きょ入院することに。もう運転ができないと悲観したジョナサンは足摺岬から身を投げようとするが、近くの食堂で働く風美子に助けられる。桃次郎は、病弱な母の面倒を見ながら働くけなげな風美子に性懲りもなく一目惚れする。
昭和二十五年に起った天銀堂殺人事件の容疑者、元子爵椿英輔は忌わしい嫌疑を恥辱としてか信州で自殺をとげたが、夫人[火禾]子は今尚英輔の幻影に悩まされていた。令嬢美彌子の頼みで名探偵金田一耕助は一夜椿邸で行われた目賀博士の砂占いに列席した。集った人達は[火禾]子、美彌子、目賀博士の他、[火禾]子の叔父玉虫元伯爵と妾菊江、[火禾]子の兄新宮利彦と妻はな、道楽息子の一彦、椿家執事木下善四郎、書生三島東太郎などであったが、博士の占い通りその夜玉虫伯爵は何者かに殺害された。耕助は英輔の日記の空白を手がかりに神戸に赴き、以前英輔が別邸の管理人植辰の妹お駒を尋ねる目的があった事を調べ上げる。お駒も既に殺害されていたが、お駒の養子宗二郎が失踪している事と、妙光院の痣とり地蔵尊の裏面に彫られた文字から秘密を嗅ぎ出し、急拠東京へ引返す。しかし椿邸では新宮利彦が殺されていた。居並ぶ人々の前で三島青年が動揺しているのを見届けた耕助は逮捕状を携えて再度椿邸の門を潜るが、一同は鎌倉の別邸に行った後だった。その頃鎌倉では新宮利彦と[火禾]子の間に兄妹姦淫の子として生れた三島青年実は宗二郎が、目賀博士と[火禾]子に詰めよっていた。驚いた[火禾]子は青酸カリの盛られた鎮静剤を飲んで一瞬にして絶命。直後到着した耕助は一同の前で始めて事件の顛末を発表した。--今から二十数年前、[火禾]子は兄利彦に犯されて一児を生み落し、叔父玉虫伯爵はその子を宗二郎と名付け植辰の妹お駒に預けたが、椿家財産横領を企む目賀博士は宗二郎が幼年で死んだ後、植辰と謀ってその子治雄の片腕に火焔太鼓の痣を彫りつけて宗二郎に仕立て上げ、椿家乱倫の実状を明かして復讐を誓わせたのである。かくて真相を知らぬ治雄を三島東太郎の仮名で椿家の書生に送りこんだ目賀博士は英輔に[火禾]子の行状を告げて自殺に追い込み、その亡霊の恐怖を利用して玉虫伯爵、利彦、お駒、[火禾]子と次々に殺害したのである。鋭い耕助の推理と植辰の証言に、目賀博士は拳銃を取って乱射するが、耕助の反撃に挫け、遂に警官に捕われた。...