男はつらいよ 寅次郎物語 (1987)
ジャンル : コメディ
上映時間 : 1時間 41分
演出 : Yoji Yamada
脚本 : Yoji Yamada, Yoshitaka Asama
シノプシス
「男はつらいよ」シリーズ第39作。福島から寅さんを訪ねてきた秀吉少年。父親である寅さんのテキヤ仲間の政吉が亡くなり、位牌を持って施設から逃げて来た秀吉には、産みの母がいるという。寅さんは秀吉を連れて、大阪から和歌山へと、母を訪ねる旅を続ける。ある夜、奈良県吉野の旅館で、秀吉は旅の疲れから高熱を出す。隣の部屋の客・隆子(秋吉久美子)は協力を申し出て、寅さんと共に夜を徹しての看病をする。いつしか「とうさん、かあさん」と呼び合うようになった寅さんと隆子だったが…
「男はつらいよ」シリーズ第1作。 20年振りに故郷、東京は葛飾柴又に帰ってきた車寅次郎(渥美清)。ちょうど庚申の祭りの最中で、早速祭りに参加する寅次郎。そんな中、懐かしいおいちゃん(森川信)、おばちゃん(三崎千恵子)や妹さくら(倍賞千恵子)に涙の再会を果たす。翌日、さくらの見合いに出席した寅次郎だが、酔ったあげくの大失態。見合いをぶち壊した寅次郎はおいちゃんらと大ゲンカし、柴又を去っていく。その後、寅次郎は旅先の奈良で旅行中の御前様(笠智衆)とその娘・坪内冬子(光本幸子)と再会。幼なじみゆえ、気さくな冬子に恋をした寅さんは、帰郷してからも冬子のもとへ日参する。一方、裏の印刷工場につとめる諏訪博(前田吟)は、さくらへ想いを寄せていた・・・
「男はつらいよ」シリーズ第2作。車寅次郎(渥美清)は、弟分の登(津坂匡章)と北海道へ出発する前にふらりと葛飾商業学校時代の英語の恩師・坪内先生(東野英治郎)の家を訪ねた。先生の娘・夏子(佐藤オリエ)に一目惚れした寅次郎は浮かれてしまい、先生宅で飲み食いが過ぎ病院に担ぎ込まれてしまう。入院先の病院でトラブルを起こして脱走。さらに、舎弟の登と焼肉店で無銭飲食と店長の男性に暴力をふるい、警察に連行された。さすがにいたたまれなくなった寅次郎は北海道の仕事もうまくいかずに関西の京都へたどり着く。
「男はつらいよ」シリーズ第48作にして、最終作。阪神淡路大震災の直前、神戸から連絡があって以来、寅さんは音信不通。さくらや、おいちゃん、おばちゃん達は心配していた。一方満男は、久しぶりに訪ねて来た泉(後藤久美子)から、結婚の報告を受けてショックを隠せない。ヤケをおこして、岡山県津山市での泉の結婚式をメチャクチャにしてしまう。失意の満男は、奄美大島の加計呂麻島で出会った女性の親切で、彼女の家の世話になることに。その女性はリリー(浅丘ルリ子)で、なんと寅さんはそこで同棲していた… 26年間に48作続いて来た『男はつらいよ』シリーズ最終作となった『寅次郎紅の花』は、第25作『寅次郎ハイビスカスの花』以来、四度目の登場となる浅丘ルリ子演じるリリーが登場。しかも寅さんは奄美大島でリリーと同棲。かつてさくらが夢見た寅さんとリリーの結婚は、現実のものとなるのか? そして五回目となる後藤久美子演じる泉と満男の関係は? シリーズ大団円に相応しく、二つの恋の行方が、幸福な気分のなかで描かれてゆく。阪神淡路大震災の被災地に立つ寅さんの「皆様、本当にご苦労様でした」という言葉は、俳優・渥美清の最期の台詞となった。
「男はつらいよ」シリーズ第22作。旅の途中、静岡県の大井川にかかる蓬莱橋で雲水(大滝秀治)に、“女難の相”があると見立てられた寅さん。早速、失恋した小島瞳(泉ピン子)を慰める。さらに、木曽路をゆくバスの中で、博の父・飈一郎(志村喬)と再会。「今昔物語」を例えに“人生の儚さ”を教えられ、柴又へ戻ってくる。ちょうどその頃、とらやには、美しい女店員・荒川早苗(大原麗子)がつとめていた。美人の出現に「今昔物語」もなんのその、張り切る寅さんだったが…
「男はつらいよ」シリーズ第42作。満男は浪人生となり、予備校通いの毎日。勉強に身が入らず、さくらや博を心配させている。そこで久しぶりに戻って来た寅さんが、その悩みを聞くために浅草のどぜう屋で酒を酌み交わす。恋心を募らせる後輩の及川泉(後藤久美子)は両親の離婚で転校。一目会いたさに名古屋から、佐賀県へバイクを飛ばす満男。偶然にも寅さんと再会、二人で泉を訪ね、美しい叔母・寿子(檀ふみ)に迎えられるが、泉の伯父は教育者で…
「男はつらいよ」シリーズ第38作。寅さんは北海道知床で、無骨だが誠実な老獣医・上野順吉(三船敏郎)と出会い、意気投合して居候することになる。やもめ暮らしの順吉の面倒を見ているのが、スナックママ・悦子(淡路恵子)。ある日、順吉のひとり娘、りん子(竹下景子)が、結婚に失敗して東京から帰ってくる。近所の人々との楽しい日々が続くが、不器用な順吉とりん子は、寅さんがいないと上手くコミュニケ−ションがとれない…
「男はつらいよ」シリーズ第24作。アメリカから日本へ、ビタミン剤のセールスにやってきたものの、やることなすこと上手くいかないマイケル・ジョーダン(ハーブ・エデルマン)が、御前様の善意あるアイデアで、とらやに下宿する。マイケルに親切にするとらや一家。そこへ、アメリカ大嫌いの寅さんが帰って来て、対決か! と緊迫の一瞬を迎えるが、満男の英語塾の先生・めぐみ(林寛子)と、その美しき母・圭子(香川京子)が現れて、寅さんは方向転換してしまう・・・
「男はつらいよ」シリーズ第21作。熊本県・田の原温泉で、やることなすこと裏目に出てしまう地元の青年・留吉(武田鉄矢)に、“人の道”を大真面目に説く寅さん。ところが宿賃がなくて、さくらが迎えにやってきてオカンムリ。今度こそはと反省の日々を送るが、さくらの同級生で幼なじみのSKDの踊り子・紅奈々子(木の実ナナ)に夢中になって、レビューに通う日々が始まる。一方の奈々子は、このまま舞台を続けるべきか? 結婚して引退すべきか? で、真剣に悩んでいた…
「男はつらいよ」シリーズ第9作。「貸間あり」の札に憤慨して店を飛び出した寅さんは、不動産屋で下宿を探すが、案内されたのは、なんととらやだった。旅の空の寅さんは、福井でOL三人組と楽しいひとときを過ごし、柴又へ帰ってくる。三人組の一人で、どこか寂しげな高見歌子(吉永小百合)は、小説家の父・高見修吉(宮口精二)とのぎこちない関係に悩んでいた。そんな歌子が柴又を訪ね、寅さんは色めき立つ…
「男はつらいよ」シリーズ第45作。宮崎県油津、理髪店の女主人・蝶子(風吹ジュン)に、顔を当たってもらった寅さんは、雨宿りしているうちに、彼女の家に逗留することになる。高校の同級生の婚礼に来た、及川泉(後藤久美子)が寅さんに声をかけた瞬間、寅さんが足をくじいてしまう。その報せを聞いた満男は、泉に逢いたいがため、宮崎へ。ところが泉と一緒に迎えに来たのが、蝶子の弟・竜介(永瀬正敏)だから面白くない…
「男はつらいよ」シリーズ第46作。就職活動中の満男は、博と大げんかして、夜汽車に飛び乗る。一年ぶりに柴又へ帰って来た寅さんに、さくらが満男の悩みを告げていると、ちょうどそこへ、満男からの手紙が届く。瀬戸内海に浮かぶ琴島に、満男を迎えに行く寅さんだったが、美しい葉子(松坂慶子)の存在を知り、島に残ることに。一方、満男は看護師のあや(城山美佳子)とむつまじく過ごしていた・・・
「男はつらいよ」シリーズ第11作。
初夏の北海道網走に出向いていた寅次郎は、そこでドサ回りの三流歌手リリー松岡(松岡清子)と出会う。何かにつけて悪態をつく男勝りのリリーに寅次郎も最初のうちは手を焼いた。が、やがてそれが虚勢だと気づいた寅次郎は、自分の身の上とリリーの育った環境が良く似ていることから同情心を抱く。リリーも心に傷を負った寅次郎の話を聞くうちに、寅次郎を兄のように慕うようになった。しかし、寅次郎の同情心はやがて抑えがたいほどの恋心へと変化していくのであった。
「男はつらいよ」シリーズ第7作。寅さんの母・お菊(ミヤコ蝶々)が、久しぶりに柴又を訪れる。そこへ寅さんが帰郷し、さくらと共に、お菊の宿泊先の帝国ホテルに向かうが、子供のように愚行を重ねる寅さんに、お菊は愛想を尽かす。旅に出た寅さんは、三島で東北なまりの少女、太田花子(榊原るみ)と出会い、知的障害を持つその身を案じるが・・・
「男はつらいよ」シリーズ第17作。上野の飲み屋で、みすぼらしい老人と出会った寅さんは、気の毒に思いとらやに連れて来てしまう。その老人は、日本画の大家・池ノ内青観(宇野重吉)だった。世話になったお礼として青観が描いた絵をめぐり、とらやでは大騒動が巻き起こり、寅さんは旅に出ることに。ところが兵庫県龍野で、寅さんは青観と再会、市長の接待を受け、芸者ぼたん(太地喜和子)と意気投合。しばらくして、ぼたんが、客だった鬼頭(佐野浅夫)に貸した二百万円を踏み倒されそうになって、上京。あまりにも理不尽な事態に、憤慨した寅さんは・・・
「男はつらいよ」シリーズ第34作。上野の焼き鳥屋で、“懐が旅先”の寅さんに奢ってくれたのは、仕事に疲れた証券マン、富永健吉(米倉斉加年)。律儀な寅さんは御礼にと今度は御馳走するが、結局、茨城県牛久沼の富永宅に泊まる。富永夫人のふじ子(大原麗子)の美しさにドギマギする寅さんだったが、ある日、仕事に疲れた富永が失踪。寅さんは哀しみに打ちひしがれるふじ子と共に、富永の故郷、九州へと捜索の旅に出るが・・・。
「男はつらいよ」シリーズ第40作。信州小諸、駅前で知り合ったお婆さん(鈴木光枝)の家に泊まり、昔語りを聞く寅さん。翌朝、医師・原田真知子(三田佳子)が、お婆さんを病院に入院させるためにやってくる。重病のお婆さんは、寅さんの説得でなんとか入院し、真知子は寅さんを御礼にと家に招待する。くるまやに帰った寅さんは、満男の大学受験の下見ということで、真知子の姪・由紀(三田寛子)を早稲田大学に訪ねる。さらに真知子も息子に会うために東京へ。寅さんにとって幸福な日々となる。
「男はつらいよ」シリーズ第15作。青森で知り合った中年男・兵藤謙次郎(船越英二)と旅を続ける寅さんは、函館のラーメン屋の屋台で、なんとリリー(浅丘ルリ子)と再会を果す。初夏の北海道で、気ままな道中を楽しむ三人。兵藤は、小樽で初恋の信子(岩崎加根子)に一目だけ逢おうとするが、それを“男の甘え”とリリーは寅さんに当たって、二人は大げんか。そのままリリーと別れた寅さんは、リリーのことが気がかりな毎日。そんなある日、リリーが柴又へとやってきて…
「男はつらいよ」シリーズ第10作。旅先で弁当を使わせてもらった旧家の奥様(田中絹代)から、テキ屋仲間の哀れな末路を聞かされた寅さんは、柴又へ帰ってくる。ところが寅さんの部屋は、御前様の親戚の大学助教授・岡倉金之助(米倉斉加年)が下宿中。面白くない寅さんは、また旅に出ようとしたが、門前で美容院を始めた幼なじみの志村千代(八千草薫)と再会し、思いとどまることに…
「伯父さんはどうしているのだろう」
出張先の駅で、寅さんの幻影を見た満男は、まだ小学校だった頃のひと夏を思い出していた。それは寅さんとリリー(浅丘ルリ子)の沖縄の灼熱の恋の日々だった。今から20年前、柴又に届いたリリーからの手紙。沖縄で病床にいるリリーを、嫌いな飛行機に無理に乗って、見舞いに行った寅次郎。二人の同棲の日々・・・
渥美清の没後一年に作られた「特別篇」は第25作のリマスター版。音声をデジタル化し、映像を丹念にコンピューターで補正し、お色直しをしたバージョンに新撮影部分を加えて完成した。それは若い世代にも寅さんの楽しさを知っていて欲しいというスタッフの思いの具現化であった。新撮影部分は、満男が出張先の静岡県の駅のホームで、通過する列車の向こうに寅さんを見るというシーン。CGで合成された渥美清の姿は、西田敏行の『虹をつかむ男』にも登場している。最新の技術で、スタンダードがよみがえる。
「男はつらいよ」シリーズ第4作。競馬で大儲けした寅さんが、名古屋からタクシーで帰郷。竜造とつねをハワイ旅行に連れて行くことにするが、出発の朝、旅行会社が代金を持ち逃げしたことが判明。メンツが大事な寅さんは、旅行に出かけたフリをして、おいちゃんたちと共に店で静かに潜む。しかし、そこへ泥棒(財津一郎)が入って大騒動。反省の旅に出た寅さんが、戻ってくると、二階には幼稚園の春子先生(栗原小巻)が下宿していた…